

女川ライフの
楽しみ方教えますInterview


地域おこし協力隊として活動しながら、サウナ運営にも挑戦する充実した日々。
鹿又 陸さん
(30代男性、宮城県塩竈市出身、東京から移住)
出島の魅力に惹かれ、女川町へ移住した鹿又さん。地域おこし協力隊として活動しながら、自ら建設したサウナを運営し、理想の暮らしを実現しています。

現在のお仕事は?
地域おこし協力隊として、女川町の出島を拠点に活動しています。森林管理や出島大橋開通後の駐車場警備などに取り組み、着任1年目には、他の協力隊員とともにサウナの建設のための間伐を行いました。切り出した木を使い、一から自分たちの手で組み立てたサウナ「JUURI SAUNA(ユーリサウナ)」を、令和6年12月の出島大橋の開通に合わせて開業し、現在は協力隊の仕事と並行してサウナ運営にも取り組んでいます。
サウナには、日本でまだ導入されたことのなかったフィンランドの伝統的な蓄熱式ストーブを使用していることや、サウナを通じて森づくりにも貢献したいというコンセプトが評価され、県内のマスコミやメディアに取り上げられ、サウナ業界でも話題にしていただきました。

女川町に移住したきっかけは?
出身は宮城県塩竃市で、地元・宮城県内で自分のこだわりが詰まったサウナを開業したいと考えていました。いくつかの地域を見て回る中で、その候補地の一つとして女川町を訪れました。
移住を決めた大きな理由の一つは、女川の復興まちづくりに興味を持ったことです。自分自身も地元で被災した経験があり、「還暦以上は口出すな(口は出さないが必要となれば金は出す。人が必要なら見つけてくる。弾よけにもなるし、ケツを持てというなら持つ。復興まちづくりの中心は若者たちだ。)」というまちづくりの姿勢や、防潮堤をあえて作らない決断など、女川の復興の経緯には強く共感するものがありました。
さらに、出島のロケーションにも心を奪われました。出島は海と森がすぐそばにあり、本土から近いのに、まるで別世界のような時間が流れる場所です。離島ならではの空気感が心地よく、大学から関東で暮らしていた自分にとって「何もない贅沢さ」を感じられる環境でした。初めて訪れた日は雨が降っていましたが、それでも美しいと感じる風景が広がっていました。「天気が悪くてもこれだけ綺麗なら、晴れたらどれほど素晴らしいのだろう」と直感的に思ったことを今でも覚えています。
震災後は女川に訪れる機会が少なかったものの、こうしたご縁が重なり、この町での挑戦を決意しました。

移住で、心配だったことは?
女川町に移住すること自体には不安はありませんでしたが、出島に住むことには少し不安がありました。橋が開通する前は1日3本の定期船しかなく、買い物などは離島ならではの不便さがあるのではないかと感じていました。しかし、関東から帰ってきて真逆の生活をしてみたいと思っていたので、「何もないこと」にむしろワクワクしていました。実際に住んでみると、意外にも全く問題なく、むしろそのシンプルな生活に順応できたというのが正直な感想です。

移住してよかった点、以前と暮らしが変わった点
女川町に移住して、特に良かった点は、自然の近くで生きるという自分の理想の生活ができていることです。ストーブに使う薪もすべて間伐材を使うので、定期的に山に入り、薪を運んだり、森の整備を行ったりする中で、自然の中で生きることができ、日々の暮らしの中でその豊かさを実感しています。
また、女川町はコンパクトにまとまっているため、以前住んでいた関東に比べ、自分にとっては非常に住みやすいです。必要以上に物がないというシンプルな環境が、逆に心地よさを感じさせてくれています。暮らしの中で特に幸せを感じる瞬間は、お客さんが帰った後にサウナに入る時間です。

女川町の魅力とは
女川の魅力は、まず「よそ者」に対する排他的な空気がまったくないところです。田舎だとどうしてもそういう空気を感じることが多いと思っていましたが、女川は全く違って、どこか温かく迎え入れてくれるような感じがしました。それに、復興まちづくりに共感している部分も多くて、この町の前向きな姿勢がすごく魅力的です。
そして、何より出島の自然環境が素晴らしいです。海も森も近くて、贅沢なほど豊かな自然に囲まれています。本土から近いのに、どこか非日常的な時間が流れていて、そこがまた魅力的です。出島について、実は県内の人でも知らない人が多い。だから、サウナを通じてこの場所をもっと知ってもらいたいと思っています。

現在の住まいは?
出島の公営住宅に住んでいます。戸建てなので、めちゃくちゃ快適です。周りのご近所さんは漁業関係の方が多くて、正面の家の人からタコをもらったり、いろんな海産物をいただいたりしています。こうした交流がすごく嬉しくて、温かいコミュニティの中で生活できていることに感謝しています。

休日の過ごし方は?
橋がかかる前は、夕方になると漁港に行って夕日を見たり、離島ならではのゆったりとした時間を楽しんでいました。今は、協力隊の仕事以外の時間はほとんどサウナのことに費やしているので、特別な休日というものはありませんが、お客さんが来た日はせっかくなので営業後のサウナに入り、自炊して、寝る、というシンプルな生活をしています。そうした生活が、今の自分にとっては一番心地よく感じています。

移住を考えている人へ一言
女川町は他の地方と比べて移住へのハードルが低く、抱える不安が解消されやすい町だと思います。住みやすい環境が整っていて、排他的な空気感がないです。移住者や新規創業で活用できる助成金があったり、サポートも手厚いので、移住を考えている方には助けになると思います。
また、女川町では、地域おこし協力隊2年目から、起業や事業承継に係る設備・備品の購入費や、法人登記費用などの経費に対する最大100万円の補助を受けられる制度もあるので、女川町で地域おこし協力隊として活動しつつ将来的な起業や事業承継を検討してみてもいいのでは、と思います。