

私たち
女川で起業しました!Interview


自己肯定感を育むには幼少期の経験が重要だと気づき、スポーツを通じた教育事業を女川町で創業しました。
原田 直信さん

1. 起業のアイデアや動機は何でしたか?
前職の製薬会社で勤めていた際、副業でカウンセラーをしていました。その中で、自己肯定感の低い大人が多いことに気づき、何か解決できる方法はないかと考えるようになりました。臨床心理士の方に話を聞いたところ、自己肯定感の高さは幼少期、特に10歳までの経験が大きく影響することが分かりました。ビジネスアイデアを考える中で、女川町の人々にインタビューをしたところ、非認知能力の高さについて、やはり幼少期の経験が影響しているという意見が多かったため、「幼少期にアプローチする事業」に取り組もうと決めました。
女川町の創業支援プログラム、『創業本気プログラム』に参加し、ビジネスプランをブラッシュアップしました。最終的に、自分の得意なスポーツを通じて、非認知能力を育む事業を立ち上げる決意を固めました。

2. なぜ女川町を起業の拠点として選びましたか?
2013年に雄勝を訪れたことや、前職時代に震災遺児の進学支援を行う団体の活動を通じて、宮城県の三陸沿岸部と縁がありました。しかし、女川町と直接関わるようになったのは、前職で引き継いだプロジェクトがきっかけでした。その後、NPO法人アスヘノキボウの前代表である小松さんから「創業本気プログラム」を勧めていただき、女川町での起業について本格的に考えるようになりました。
事業アイデアの段階では、「面白そうだからやってみたら?」と応援してくれる人が多く、その後押しがあって、女川町への移住と創業を決心することができました。
実際に事業を始めてみると、予想以上に多くの人が助けてくれ、さらに自主的に関わってくれる人たちも多かったです。縁もゆかりもない土地で事業を始めるにあたって、女川町は本当にいい場所だと感じています。

3. 起業過程で直面した主な課題は何でしたか?それらをどのように乗り越えましたか?
起業過程で直面した主な課題は特になかったと感じています。事業アイデアについて、まず教育委員会の方に相談したところ、その有用性に共感していただき、「保育所で試しにやってみたら?」というアドバイスをいただき、実際に繋がりを持つことができました。
一方で、現場の方々にとっては、大切な子どもたちを預かる仕事であるため、突然外部から来た私たちに対して警戒心を持っていたことは確かです。最初はその信頼関係を築くのに苦労しましたが、時間が経つにつれて私たちの想いやビジョンを理解してくださり、今では良い関係を築けていると感じています。
事業を進めるうえで、私は役場や保育所の方々をステークホルダーとして捉え、その課題やニーズに対して、自分たちがサポートできる可能性を感じていました。役場や保育所は、事業の推進において重要なパートナーであり、困っていることがあれば、積極的に自分から聞きに行くようにし、信頼を積み重ねていくことを意識して取り組んできました。現場の方々からの信頼は何よりも大切だと感じており、その信頼があってこそ、事業は円滑に進んでいると思います。

4. 女川町の協力体制やサポートが起業活動にどのように影響しましたか?
町の中間支援組織であるNPO法人アスヘノキボウさんからは、地域の状況や事業に関するさまざまな情報を得ることができ、事業を進めるうえで大きな助けとなっています。
コワーキングスペースを活動拠点にしているのですが、町内外の様々な人との出会いや、そこから得る情報が役立つ場面もありました。

5. 地元の他のビジネスやコミュニティとの協力関係について教えてください。
商工会青年部に所属することで、町内事業者との繋がりを作れていると感じています。また、教育分野での経験を持つ経営者たちとも協力関係がしっかりと築けており、安心して事業を進められています。

6. 将来の展望や新たな挑戦について教えてください。
移住したことで女川町の様々な課題が見えてきて、地域の課題を解決するような事業を作りたいと、より思うようになりました。特に、子どもたちが将来夢を持ったときに諦めることなく、その夢を追いかけられるようにサポートしていきたいという思いが強くなりました。実際、仙台の子どもたちが交流する様子を見る機会があり、女川の子どもたちとの違いを感じました。自己主張などの面で、少し足りない部分を感じ、そこを補ってあげられるような事業を発展させていきたいと思っています。また、現在アプローチできていない4年生や5年生の居場所作り、また、スポーツを楽しめる環境づくりにも取り組みたいと考えています。
来年からは、地元と女川の2拠点生活を始める予定なので、若いメンバーたちの力も借りながら、新しいことにも挑戦していきたいです。試行錯誤を繰り返しながら、興味を持ってくれた自治体や団体に事業を広げていけたらと思っています。将来的には、教育サービスをパッケージにして広げていきたいです。
女川町の教育の魅力をもっと引き出すことで、人口減少問題にも貢献できたら素晴らしいなと思っています。

7. これから起業や移住を考えている方へ一言
まず、私は本当に運が良かったと思っています。起業は大変なことも多いですが、最も大切なのは自分が実現したいという強い意志と行動力です。それさえあれば、そのビジョンに共感してもらうことができ、地域からも応援してもらえると思います。特に女川町は、しっかりと自分の考えを伝え、動くことで、共感してサポートしてくださる方が多い地域だと思います。
また、NPO法人アスヘノキボウさんを上手に活用することもおすすめです。相談できる相手がいることは非常に心強いですし、自分が全部やるんだという意気込みで取り組むことが大事だと思います。