女川町誌 続編
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な穂状になっているので目立つ方である。 同じく穂状の花でも草の丈が短いので、あまり目立たないのはドクダミ(ハンゲショウ科)である。ドクダミの場合は淡黄色の小さい花が穂状に集まり、そこに花弁のように見える白い苞ほうというものが四枚ついているのであるが、他の草に圧倒されて目立たないようである。百合の類もそろそろ開花が近いようで、山百合・車ユリ・ウバユリ等の蕾つぼみが大きくなったのが道から見られた。 ○七月十九日(日曜日) 山口良吾君を誘って息子成晃の車で、女川の第一水源地の少し上まで行き、ここで下車して安の平に向かった。目的は、一つには四月四日に安の平に行った折に、ある場所で、昨年生えていたオニノヤガラ(ラン科)の枯れたものではないかと思われるものが相当数あったので、その正体を確認したいことと、さらにもう一つは、この時期にどんな植物が開花しているのかを知りたいためである。藪を押し分けてオニノヤガラらしく見えたもののあった所に行ってみると、オニノヤガラは無く、その辺一面にメタカラコウ(菊科)が咲いていた。このメタカラコウが枯れて葉が落ち、花茎だけが残った姿を想像すると、おそらくオニノヤガラの枯れた姿によく似たものになるに相違ないと思われ、一つの疑問は氷解した。帰途湿地を歩いてみると思わぬ収穫があった。まず目についたのがトリアシショウマ(ユキノシタ科)によく似ているが、トリアシショウマの花は白いのにこれはピンクでとても綺麗きれいな花をもったチダケサシ(ユキノシタ科)であった。この中にまじって、一㍍くらいの高さの澄んだ黄色の花穂をつけた草レダマ(サクラソウ科)も、こんな原野に咲かせておくのはもったいない姿でそよ風に揺れていた。一つの場所でも時期を変えて訪ねる必要のあることを痛感した。 404

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