女川町誌 続編
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二 宮城県指定天然記念物 ◎笠貝島の斑はんれい岩(昭和四十四年八月二十九日指定) 笠貝島は江島の北方約二・五㌖の洋上に浮かぶ周囲約一・五㌖の無人島で、ウミネコ及びウトウの集団繁殖地となっている。この島の地質は従来、江島・平島同様三畳系の堆積たいせき岩である稲井層群に属するとされていた。ところが、昭和四十二、四十三の両年にわたる地質調査所技官滝沢文教、猪木幸男、片田正人の三氏の現地調査の結果、島全体が斑れい岩類と閃せん緑りょく岩のみから成ることが判明した。しかも斑れい岩中には極めて珍しい球状岩(本邦では小規模、不完全な例が瀬戸内海の丹上島に、世界ではコルシカ島に完全なものが報告されているだけである)の存在が確認され、谷正巳地質調査所東北出張所長を中心に宮城県に対して天然記念物指定への呼び掛けが行われた。これを受けて、県教委は県文化財専門委員奥津春生(東北大教授)に調査を委託、同教授の依頼により滝沢技官が四十四、四十五年の二回、現地に足を運び再調査を行った。発見以来四年に及ぶ調査と研究の結果は四十七年三月、宮城県文化財調査 385

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