女川町誌 続編
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現在、ウトウの繁殖地は笠貝島にも広がりを見せ、四、五十の巣穴が同島南側斜面に観察される。その一方では、毎年足島に渡ってウトウの生息状況調査や生態観察を行っている山階研究所の報告によれば、最近足島において、首を食いちぎられたウトウの死骸しがいが目に付くようになったという。おそらく野ネズミの襲撃によるものと思われるが、早急な対策が望まれる。ウトウの集団営巣地は他に北海道の天売島だけであり、足島、笠貝島のウトウが絶滅することになれば、取り返しのつかないことになる。 ⑶ オオミズナギドリ 足島にはウミネコ、ウトウのほかに、オオミズナギドリの繁殖が報告され、その数は六〇〇羽と推定されているが、本町文化財保護委員会が行う文化財パトロールではまだ確認されていない。専門家の指導により調査、確認を急ぐ必要があろう。オオミズナギドリは飛びたつとき、順番に崖がけに突き出した木に登り、飛び降りる際の揚力を利用して舞い上がる。巣はウトウ同様地上に横穴を掘るが、足島ではウトウの巣穴群のある地帯の東部の小樹林帯が営巣地と思われる。オオミズナギドリの集団繁殖北限地は北海道松前町とされ、渡島おしま大島が天然記念物指定を受けている。 384

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