女川町誌 続編
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始した。得られた地震データはパーソナルコンピュータによって実時間処理され、ハードディスク装置に記録される。 さらに、津波が海岸に達するまえに沖合で津波をキャッチし、それが刻々陸上で監視できれば、もっとも確実な津波予測ができることは明白である。ところが、現在深海底に津波計を長時間設置し、それを陸上に実時間(リアルタイム)伝送するのには、長期間維持する電池が得難いこと、海底電線の敷設が高価であることから、静岡県御前崎沖及び房総半島沖の二か所しかこの種類の観測はなされていない。津波の常襲地である三陸沖などには、このような常時監視用の深海底津波計が設置されてしかるべきである。海底電線によらずとも、太陽電池をそなえた無線ブイを利用する、あるいは通信に人工衛星を利用するなどの提案がある。このようなシステムが、より安価に、信頼性の高いものが設置できるようにするには、まだまだ多くの技術上の克服すべき問題がある。 江ノ島観測所ではこのような技術の開発のために、二〇〇㍍程度の深さまでの海域に設置しうる津波計を試作、実用化しつつある。津波の常時監視システムの完成を意図しているのである。 (注)東京大学地震研究所江ノ島津波観測所について、『女川町誌』に記載が見られないので、都司所長さん にお願いし、創設の経緯を含めて詳細な紹介をお願いしたところ、快諾され、ご多忙のところ右のよ うなご寄稿を賜った。厚く謝意を表する(編さん委員会)。 381

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