女川町誌 続編
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全に航行させることができる。これは地球そのものが磁力を帯びていて、磁針を南北方向に引っ張っているせいであり、この磁気は地磁気と呼ばれている。女川観測所の目的は、地磁気を精密に連続観測することによって、電波障害などを起こすオーロラ嵐あらしや磁気嵐などの地磁気変化のしくみを知り、地球周辺や宇宙空間の電磁的環境を研究することにある(図1参照)。 観測所に備えられている各種の精密な磁力計で観測すると、ごくかすかな振幅で、地磁気は絶えず振動していることがわかる。これは地磁気脈動と呼ばれ、当観測所の研究によって、宇宙空間から地球に向かって伝わってくる磁気の波(磁波)によるものであることがわかった。この発見によって女川観測所の名は世界的に有名になった。 地磁気脈動を観測して、磁波の伝わってくる宇宙空間を研究するためには、地球上に沢山の観測所を置いて、同時に観測する必要がある。このために、今まで女川観測所を基準点として、毎年のようにオーストラリア、米国、台湾、インドネシア等、延べ一四地点以上で海外観測を行ってきた。この観測研究によって、太陽コロナから吹き出してくる風(これを太陽風と呼ぶ)の中で生まれた磁波が宇宙空間を伝わって女川で地 374

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