女川町誌 続編
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使用させてもらうことになったが、それもつかの間、昭和二十五年、女川会館は常設映画館として売却されることになり、公民館行事は会場の点で大きな制限を受けることになった。 こうした悪条件と闘いながらも、現在の教育委員会社会教育課(昭和三十九年=一九六四=制定)が担当する社会体育を含む広範な成人教育を一手に引き受けて、本町の公民館活動は精力的に進められた。地区別の青年講座、母親講座をはじめ、時局講演会、保健衛生講習会、料理講習会、町民運動会、少年野球大会、職場対抗野球大会、美術展、写真展、華道展、レクリエーション講習会等々、公民館の主催による行事の多彩さをみると、そこからは発足当時の職員の意気ごみがひしひしと伝わってくる思いがする。特に昭和二十五年八月の一週間にわたる夏期水産大学講座は、地方では珍しく質の高い講座として学界からも注目され、今も話題にされることがあるという。 こうした実績は町民を動かし、昭和三十三年(一九五八)、町議会議員有志による建議を契機に、公民館建設は急速に具体化し、チリ地震津波による被災からの復興と並行して着々推し進められ、昭和三十七年一月三十日、待望の新築落成の日を迎えた。さらに、四十二年には増築工事が行われ、現在に至っている。生涯教育センターの建設によって、公民館の行事会場としての利用は昔日のようではないが、本町における社会教育の歴史を振り返るとき、公民館の活動は金字塔として輝く業績を残したといえよう。 (注)公民館発足の経緯について『女川町誌』には記載が見当たらないので、特に、昭和二十年代までさかのぼってその経緯を記した。記述に当たっては、『石巻地方公民館史』(石巻地方公民館連絡協議会編、昭和四十五年三月三十一日発行)を参考にした。 ※女川町公民館の概要(昭和三十七年現在) 367

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