女川町誌
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椿島・山形県飛島がある」とある。 江島に飛来する海猫は、毎年早春からここに来り集まり、五月初旬から産卵して七月下旬までに雛を育てて八月上旬頃にはこの島を去つてしもうのである。厳冬の折は女川湾附近に白鷗とかゆり鷗なども来るが雛を育てることはしない。 なお江島には前掲の善知島という珍らしい海鳥が海猫と同じ季節に来島して産卵し育雛している。この海鳥は鳩よりも小型で全身が淡黒色、腹部がやや白く、嘴は褪紅色で上に突起を有つている。土の中に一米位の孔を掘つて一個の卵を産みおとす習性を有つている。この鳥は水中の鰯やいかなご(小女子)などの小魚を水面に追いつめで集団せしめ、之を海猫が海面で捕食するのが見られる。またこの様を漁師はイケといつているが、このイケを掬い捕るために多くの漁船が活動するのである。この光景は他地方では見られない。 かように善知島と海猫とは、共に漁業を助ける珍鳥なので、堅く之を捕獲することを禁じている。 海猫の飛び舞う足島海岸 860 善 知 鳥

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