女川町誌
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「サッパ漁家」の漁業技術は、無動力一トンの小船であり、その海上の漁獲行動は筋力による櫓の繰縦にもつぱら頼つていて、島の周辺をあまり遠く離れない。せいぜい二・三浬の沿岸の海面である。潮は早く、風が常に相当強いから動力として相当大きなエネルギーを出さなくてはならず、また生産は自然的な要件に依存しているから、各種各様の手道具が用いられる。この各種各様の原始的な釣道具を指して「一本釣」と総称するのである。かれらは青年時代から実父と小船に同乗して、年間の出漁によつて海底・海流・魚の移動等についての知識を経験的につみ、この漁業を運営しているのである。「サッパ」の生産は自然的要件に依存しているといつたが、果してかれらの労働は一か年を通じて充分にその生活の向上を期待しうるだけの確実性と恒常性をもつているであろうか、それを江島の「サッパ漁家」の男子労働力について分析検討したのが次に掲げる「サッパ漁業を主体とした労働様式」の表である。「サッパ漁家」の男子労働力が、常に資本的経営に吸収されてゆくという事実を先に指摘したが、これらの労働力は果して「サッパ漁家」の近代化とその技術の向上を通じて、この島の零細漁家の労働様式、従つてはその生活の向上に有効な働きを示しているであろうが、次の労働様式の表はこの点を検討するための重要な資料であると思われる。「サッパ漁家」で資本経営に労働力を排出している漁家の、男子労働力の労働様式を分析すると二つの事実が顕著である。その第一は沿岸漁業を主体として、これに僅かの近海漁業を加味した労働様式である。これは次の表の内容を為している。サッパ漁業を主体とした労働様式846

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