女川町誌
915/1094

獲物の成育状態によつてコントロールされるからである。口開当日は干潮時には主として磯で採集する。また浅い海の個所では、徒歩で海中に入る。しかし時日経過するに従つて磯の獲物が次第になくなつて来ると今度は「サッパ漁船」をくり出して沖に出て、ワカメ・コンブ・角又等の海藻類を採集する。この際採集品が多量にのぼるから、婦人達の中には磯にいて海藻類の乾燥処理に当るものもいる。これが「いそ漁業」という女子労働様式の概観であるが、多くのサッパ漁家の婦人は、このような漁獲作業に従事しつゝ家事を行つている。この女子労働様式を大体A・B・C・Dの四つの様式に分つことが出来る。A年中「いそ」と「いそ釣」に参加する婦人労働C三月の終りから九月の終りまで、即ち「いそ」の最盛期だB三月から十一月にかけて「いそ釣をやつて、十二月から翌け従事する年の三月にかけて鮫網修理をやるものD最盛期だけ「いそ」をやり冬期は網修理をやるものこの内、年中「いそ」と「いそ釣」をやるものAが全婦人労働者の五三・三%、「いそ釣」を主としてアミ修理をするものB一四・三%、最盛期だけ「いそ」をやるものC二八・六%、「いそ」と網修理をやるものDは三・八%になる。即ち過半数の婦人は「いそ」と「いそ釣」A群の労働様式に従事し、船に乗らないで陸上で磯に従事するものが相当数見られる。⑵男子労働者の労働様式前述の様に「サッパ漁家」は、自然的生産の歴史的遺物である家族的協同労働の根底に、婦人労働をその基盤としてもつていることを特色としているが、この様な家族労働漁業に於ては、男子労働力は常に漁業技術の担当者とし、また生産手段に於ては、動力的役割を果す家族労働力の中心に位置している。845

元のページ  ../index.html#915

このブックを見る