女川町誌
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終戦後、日本のあらゆる分野において、封建的制度を撤廃して徹底的に、民主化政策を実施することになつたが、新憲法第十五条第二項で「すべて公務員は全体の奉仕者であつて一部の奉仕者ではない」と明記され、従来の官公吏制度の観念は一掃されたのである。即ち従来の官吏であり、今日の公吏であるという観念に変つたのである。この要望に副うために誕生したのは、昭和二十五年法律第二六一号で定められた公務員法である。この公務員法の精神は要するに「公務の民主化」と「公務の能率化」という語に尽きるのである。この二語の精神を生かすためには、政治的には中立であり、国民全体に対しては、忠実公平に奉仕し、最小の経費で最大のサービスを提供し得る人物を確保しなければならない。従つて公務員は国民全体への奉仕者として、仕事に情熱を傾倒し、能率の発揮に熱意を燃やす人でなければならないのである。それには又その職務に対して不平不満があつてはならない。又その反面には身分を保障してくれるものがなければならない。不平不満があり身分が不安定では、その職に安住する事が出来ないから情熱を傾倒して働くことも出来ないという事になる。その日暮しの生活をして行く事になつて事務の能率も上らないという結果になる。そこでこれを救うために公平審理制度が産れ出たのである。地方公務員法においては、公平制度に二つの種類を認めている。それは、1、勤務条件に関する措置の要求の審査2、不利益処分に関する審査の請求の審査である。この第一種の「勤務条件に関する措置の要求」に就ては、その結論を関係機関に対して、之を勧告するに過ぎないが、第二種の「不利益処分の審査」については、任命権者の処分を取消し、修正する事が出来、且つ必要な場合には任命権者に対して指示する事も出来る事になつている。そして、これが運用に当る機関として、人事委員会又560

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