女川町誌
573/1094

第六章女川町の経済第一節明治初期の経済状況一、封建勢力の解消日本の近代化の出発点としての明治維新は、古い日本の封建時代の中に成長してきた近代的要素が成熟して、内から旧時代を否定するに先立つて、東洋市場の開拓、拡大をはかつて渡米した欧米諸国家の力に促されて行われた。近代的諸条件の成長と、封建的体制との矛盾の増大により不安定となつた幕末に、外国問題が加わつて一気に幕府はたおれ、明治政府が樹立されたのである。この維新変革の性質は、討幕・維新の運動そのものに現われているのである。市民が封建権力をなおす運動としてでなく、西南大名と下級武士とが中心となつて討幕運動となつていた。その結果として幕府が倒れてから、封建権力を解消させてゆくという順序となつたのである。明治二年の版籍奉還、明治四年の廃藩置県というように、漸を追つて集権政府、集権国家の体制をとつたのはそれ故で、その間に大名・武家を含めて、封建権力をなしくずしに解消させてゆくという方法がとられたのである。そして四民平等とか、封建的制限の撤廃とか、私有財産権の確立とか、更に国民経済の形成や外国貿易に至るまで、近代的諸条件をその間に育成していた。仙台藩に於ては、右と歩調を合せて宮城県へと転換している。そして維新の戦争で幕府方について破れたが、藩主505

元のページ  ../index.html#573

このブックを見る