女川町誌
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小女子こおなごの漁法イカナゴというのが一般的な名称で、地方ではこの魚の最も小さい頃はシラスと称し、五センチ位から十センチ位までを小女子と称し、十センチ位より大きくなればメロドと称して居る。しかし確たる寸法上の区別はない。又煮て乾した物は、地方ではシラス・小女子時代すべてシラス、東京その他への取引にはすべて小女子と云つている。この漁法には種々あつて、早春の小さい高価なものは沿岸の定置網で多くとれ、三、四月頃からイケ掬いが多く、やがてランプ網も加わつて七月頃までとれる。冬季から早春にかけてメロドのイケ掬いがある。これは産卵季らしく、この漁獲の多い年は小女子漁も亦多いと云つている。イケ掬いはメロドイケから小女子イケに続いて行くのであるから、小漁ながら期間が長く沿岸漁民には貴重な漁業である。次にイケ掬いというランプ網漁法について述べよう。㈠イケ掬い海猫とか善知鳥はその特性として、海中の小魚を捕い食うために、その下から上に而かも散乱しないように上に追い上げてかたまらせる。海猫は早くもこの集団をみとめると、四方から集つて飛びこみ〱ついばむのである。地方ではこの様をイケが出来たとか、イケが上げたと言う。沿岸漁民は常にこのイケに注意して見つけるや否334 イケ掬いの光景

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