女川町誌
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〇三乃至三三・六五万石浦比重一、〇二〇乃至一、〇二三に対し塩分二八・四二乃至三一・〇三第四章工事計画の概要㈠開鑿地峡の延長及浚渫区域並計画水位地峡開鑿の延長は九百四十七間六分にして、掘鑿最大深度六十七尺九寸なり、又た女川湾に沿ひての掘鑿は百八十間にして万石浦浚渫区域は渡波湾口まて、延長三千二百十間その浚渫深度最大十四尺三寸なりとす。尚ほ計画水位は女川湾及万石浦の平均水位(両者殆んど相等し)を採用することゝせり、然る時は干潮時に於て約三尺の低下あるを以て計画断面に於て相当顧慮せさる可からず。㈡断面の決定(イ)船の大さ今断面決定は必要なる船腹の大さを定むるには、先つ現在附近航行の船舶を標準として将来の発達を推知し、これに万石浦並に渡波湾の深浅の度を考慮し、地方開発並に地峡開鑿運河の利用上最も有利なる大さを定め工事至難工費多額に亘らざる範囲内に於て断面の決定を為さゝる可からす、今本県沿岸各港に出入する船舶を見るに左の如し。塩釜港主なる出入船舶は三陸運輸会社の所有船舶にして、沿岸各港との通航は勿論遠く北海道との聯絡を保ち本県産業開発上特に著しきものなり、其の他の他港の船舶にして北海道航路の途次本港に寄航する五百噸乃至一千噸のものあれど、目下の状況に於ては大船は自由に出入し得す、最も利用の程度高きは五百噸以下の船舶なりとす、然れとも近く築港完成の暁には五百噸級以下の船舶にては満足する能はず、少なくとも一千噸以上の船舶は常に繋留する所となるべし。渡波港本港は万石浦入口に位する漁港にして、その湾口陜隘且つ岩石礁をなして船舶の航路僅に三十間に過ぎず、従つて本港に出入の漁船多くは二十噸未満幅員又た最大十二尺にして稀に三十噸幅員十四五尺のものあれど、これらは満潮時辛して出入するの状況なり、即ち現在の状態に於ては漁港として最も不適当の状態にして湾口の取拡けと航路の浚渫とは渡波港の悲境を救ふ最大急務なりとす。180

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