女川町誌 続編
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に重ねたが。 太夫=それに続いて才蔵らの、舞わりょうがよければ、この方のがが・・様・(奥様)よりお酒など下さるナ。 才蔵=お酒と申せばネ、加賀の菊酒、さつまの甘酒、造りこんだる味醂みりん酒しゅなど、たんと又下さる、太夫様ヤ。 太夫=それに続いて才蔵らの、舞わりょうがよければ、この方の姐あね様さまよりお手・・かけ・・(酒のさかな、おつまみ)など下さるナ。 才蔵=お手かけと申せばネ、木の実にカヤの実、蜜柑こに田つぶナ、鎌倉のエビコなど、腰こしゃっくりひん曲げて、大きな長いひげジット、ジット生えたが太夫様ヤ。 太夫=ときに、才蔵、酒の肴さかなに大・の・もの・・(大盛り)がなかったかナ。 才蔵=あるとも、煮に〆しめには人参にんじん、ごぼう、豆腐、油あぶら揚げ、こんにゃく、火吹き竹などございます。 太夫=この才蔵、そそう・・・(お粗末)を申せ。人参、ごぼう、、豆腐、油揚げ、こんにゃくは食くわるるが火吹き竹は食わるるか。 才蔵=この才蔵だって種のないことは申しません。今朝早く隣のおたり婆さんのところへ火種をもらいに行ったれば、おたり婆さんが尻をくるっとまくって火吹き竹で火を吹いてたんだ。この才蔵、後ろの方から二本指でチョコッとやったら、この才蔵、火吹き竹で食わせるぞと言ったから、火吹き竹は食わるるものと心得てた。 二人=うどん粉こ三升ナ、そば粉こ三升ナ、大きなから・・け・鉢・(すり鉢)のでっかいのに、がらり、がらりかんまして、あぐど・・・(かがと)の爪先つまさきより頭のつり筋まで、べったら、べったらつけたが、鶴は千年、亀は万年、旦那様 435

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