女川町誌 続編
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現在日本全体で四〇〇余りの検潮所が設置されていて、津波があったときにはそれによる海面水位の変動を測定することができる。しかしながら、その大部分は湾や港の内部に設置されていて、本来の外洋での津波の水位変動のほかに、湾内で誘発された二次的な振動成分も共に記録されることが多い。 津波の研究を推進するためには、津波本来の外洋での水位変動を観測するのが望ましく、津波の常襲海岸地方にあって、しかも湾の影響を受けない有人の観測点ということで、宮城県女川町の江ノ島が津波観測の適地として選ばれ、昭和十六年(一九四一)に、東京大学地震研究所の高橋竜太郎教授の指導によって津波用検潮儀が初めて設置された。この装置は一年余で大時化しけのため破壊され、その後長い空白期間ののち、昭和三十一年こ ろから本格的な津波観測所となり、昭和四十二年に新たに鉄筋コンクリートの本舎が建設され現在に至っている。 ⑵ 研究成果 津波の測定には風波による急速な海面の変化をのぞいて、時間的にある程度平滑化した水位変動を記録する「濾波器ろはき」とよばれる部分を含んだ水位測定装置が用いられる。その記録が、ペン書きの自記紙だけでなく、そのまま電子計算機へ入力でき、また電話回線などによって遠隔地でも監視できるデータの形になっている方が望ましい。 このような装置は、もちろん世界中多くの海洋研究者によってさまざまなタイプのものが試作され、一部は実用化 376

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