女川町誌 続編
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翠の署名が残っているはずと聞いて探してもらったが、当時の芳名録は見当たらず、わからずじまいであった。 二 東北大学理学部地磁気観測所 (東北大学教授 地磁気観測所長 斎藤 尚生) ⑴ 地磁気観測所の沿革 東北大学に理学部が創設された当初、仙台市郊外に向山観象所が設置され、地磁気、気象学の観測研究が行われた。 昭和七年(一九三二)の国際極年観測にも参加して成果を上げたが、その後仙台では主に電車による人工磁気擾乱が次第に増加し、地磁気観測は不可能な状態になってきた。 そこで、昭和二十一年(一九四六)、人工擾乱のない女川町小乗浜に、女川町も援助して地磁気観測所を設置し、観測を開始した。 地下観測室、庁舎、各種磁力計室が建てられ、観測所で独自に開発した誘導磁力計、電子管自動平衡磁力計が各棟に配置された。 昭和三十二年(一九五七)からの国際地球観測年には、世界の地磁気脈動パイロット観測所に指定され、以来この分野では国際的に主導的な観測を続けている。 一方、小乗も急速に都市化し、周辺道路に大型自動車が頻繁に往来するようになり、その人工擾乱のために精密な地磁気観測が危ぶまれてきた。このような状況の中で昭和三十五年(一九六〇)五月にチリ地震津波が女川町を襲い、 372

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