女川町誌 続編
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れたという残念な事実もある。こうした事実は、失敗として触れることを避けることなく、積極的に原因の究明に取り組むことで、次の企画に生かすことを考えるしかない。そうするかしないかが町民の活力の有無の分かれ目ともいえるのである。 イベントの限らず、観光の目玉の備えるべき条件の第一は「珍しさ(ユニークさ)」にあることはいまさら言うまでもない。人に個性があるように、町や村にも他に優れたもの、珍しいものが必ずあるはずである。そして、それを探し出すためには、先入観を捨てた子供の目でわが町を見直すしかない。それが観光振興のすべてとはいわないまでも、それを基盤としない試みは、しょせん根なし草にすぎないものである。目玉探しとはいっても、自然、歴史、地理など広範な分野にわたる地道な探究の結果浮き出てくるものであるから、終わりのない仕事であり、成果も一朝一夕に期待できるものではない。だが、粘り強く続ければ必ずそれなりの返報はあるはずである。自然条件の制約から企業誘致の困難な本町にとって、残された活性化の道はそう広くはない。そうした中でこれまで町民サイドで試みられた活性策が観光振興に向けられることの多かった事実を踏まえ、この項は提言の形を取ることにした。未来への呼び掛けという町誌の側面を強調したものとして、将来に生かしていただきたい。 ☆崎山展望公園 大漁旗を風になびかせた漁船がひっきりなしに出入りする。優美な快速双胴船が白い航跡を残して、見る見るうちに遠ざかる。金華山行きの観光船の甲板から、遠来の人々が手を振っている。崎山展望公園に立つと、眼下に一望する港の景観に人は思わず時の流れを忘れるだろう。出船を追って目を外洋に転ずると、洋上はるかに浮かぶ笠貝島、江島列島の島々。牡鹿半島の山並みの果てるあたりに、霊島金華山の山頂が淡くかすむ。289

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